ペットのためのデンタルケア

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あなたは我々の歯科チームの重要なメンバーです。(米国の獣医のパンフレットより)

 歯科治療を終了する前に、お口の中の状態を維持し向上させるための方法についてお話する必要があります。 ホームケアはお口の健康を守るための最も重要な手段です。日常のブラッシングをきちんと行えば歯のクリーニングのために来院する間隔を劇的にのばす ことができます。


 プラークは常に形成され、口の中に溜まっていきます。朝起きた時に口臭があるのはプラークが口の中に溜まっているからです。適切な口腔ケアを行えばプ ラークの形成をコントロールする事ができます。みなさんは一日に数回はプラークを除去するためにブラッシングをしますよね?

どうしてペット にはブラッシングが必要無いという事があるのでしょうか?

 デンタルホームケアのゴールはプラークが石灰化する前に歯の表面や歯茎の間の溝から取り除く事にあります。これがうまくできるかどうかは飼い主がど れだけペットの歯磨きができるかだけではなく、ペットの協力度にもかかっています。お口の中を清潔な状態に保つためには歯ブラシの毛先を歯茎の上で上下 に動かすという機械的な清掃が必要なのです。


 ホームケアは永久歯が生えはじめる前に始めるのがベストです。ホームケアを始めるパーフェクトなタイミングは子犬や子猫が初めてお家にやってきた時です。獣医さんの指導の後、毎日のブラッシングを続ける事によって獣医さんと飼い主の絆とおなじように飼い主とペットの絆も強くなるのです。


 飼い主の方から「固い食べ物は歯磨きの替わりになりますか?」という質問をよく受けます。また、犬や猫が固いフードやビスケットを食べると歯石が壊れて歯がきれいになると信じている人がいますがこれは間違いです。実際は柔らかいものを食べているペットのほうが固いドライフードを食べているペットより歯石が付きやすいというだけです。歯の表面のすべてを清潔な状態に保つ唯一の方法は毎日のブラッシングだけです。

ペットに歯磨きを受けいれてもらえる方法

 まず、歯ブラシをあてる正しい毛先の角度は歯茎に対して45度です。小さく円を描くように歯の外側を磨きます。必ず歯茎のラインより下に毛先が当たっていることを確認して下さい。歯の内側(舌や口蓋の側)を磨く事はそれほど重要ではありません。人間とちがって犬や猫では内側に歯石が付くことはあまり ありません。


 歯ぐきの溝を清潔な状態に保つことが一番重要です。毎日のホームケアで歯肉縁下のプラークと歯石を歯肉溝から取り除かなくてはなりません。飲み水にフッ素剤を加えたり練り歯磨きをしみ込ませた布で歯を磨くのもホームケアの助けになるかもしれません。しかし、歯周病は歯茎の溝から始まるのを理解しなくてはなりません。歯磨き粉で歯茎の下を掃除してこそ最も効果的なホームケアと言えます。


 歯磨きは健康なお口の状態ではじめましょう。歯茎に問題があると痛みを生じ、「非協力的な患者」を作ってしまいます。歯茎の問題を最初に治療しなくてはなりません。
 

適切な歯ブラシと歯磨き剤を選びましょう

 歯ブラシの毛はプラークが溜まりやすい歯茎の下や歯と歯の間の隙間にとどくように作られています。ガーゼのパットやスポンジ、コットンボールなどを使えば歯肉縁上のプラークを取り除く事ができますが歯肉縁下のプラークは取り除けません。

 大きな口の犬のための特製のブラシや小さな猫用のブラシがあります。それぞれのペットのためには「自分専用」の歯ブラシを用意してあげてください。歯ブラ シを共用することによってばい菌の相互感染を起こす可能性があります。

 では実際に歯ブラシと歯磨き剤を使ってみましょう。あなたのペットがブラッシングを嫌がるようであれば話しかけて安心させておいて後でもう一度試してみましょ う。少しずつ進歩するようにして、いきなり完璧を求めないであげてください。良く出来たらすぐにご褒美をあげるか、一緒に遊んであげましょう。時間をか けてください。それぞれのペットには個性があります。一週間で慣れる子もいれば一か月以上かかる子もいます。ご褒美は学習曲線向上の助けになります。

訳注

 これは私の友人のアメリカ人からもらった獣医さんのパンフレットの一部を抜粋して翻訳したものです。あなたはこの文章を読んでどう思われますか?ペットにここまでやるのは馬鹿げていると思われますか?少なくとも飼い犬の75%は歯科疾患を抱えているという研究もあるようですので、アメリカ人にとっては真面目な問題のようです。また、歯科医師としてこの文章を読んでみると動物も人間も歯周病の原因は同じであることが分かります。

 少なくとも、うちの犬、エルにはほぼ毎日歯磨きをしてやっています。ペット用の歯磨き剤や歯ブラシもあるのですが、人間用の歯ブラシ(やや硬めでヘッドの小さな子供用)とフッ素配合のキシリトール入り子供用歯磨き剤を使っています。歯磨き剤は人間用のものを使うと全量を飲み込んでしまうペットの場合はお腹をこわすこともあるようですので量には気をつけてください。フッ素入りの歯磨き剤を使うことは虫歯を予防しプラークの形成を遅らせるのに効果がありますのでぜひフッ素入りを使ってください。また、甘みがある子供用を使い最初に少し舐めさせてから歯磨きの練習を始めました。うちのエルはライオンのチェックアップ子供用(歯科医院専売ですが)を使っています。これは、フッ素配合で、低発泡性で刺激がすくなく、飲み込んでも危険性がない成分を配合してあって、しかもキシリトールで甘みがあります。味は好き嫌いがあるかもしれません。

 実は、私の悩みは他にあります。アメリカで獣医さんにペットの歯石を取って貰うとだいたい$100(1$=120円だと12000円)ほどかかります。結構、費用がかかりますね。さらに、人間がアメリカで歯医者さんに歯石を取ってもらうと、初診料や検査料でだいたい$400(保険の歯科特約が無い場合。日本円で48000円)ぐらいは必要になります。ずいぶんと高額です。一方、日本の健康保険制度は医療を受ける側からすると非常に恵まれた制度です。保険に加入していれば人間が歯石を取ってもらって歯磨きの指導を受けても3割負担で3000円ほどしかかかりません。(初診料や検査料、指導料を含みます)こんなに安く、安心して医療を受けられる国は(現在のところ)他にはありません。ところが、多くの患者さんが定期的なチェックにおいでにならずに、残せる筈の歯を失っているのです。お金の問題ではないのかもしれませんが、本当にもったいないですよね。

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